2011年5月15日 of GAIPRO.NEWS

2011.5.15

　先日、お客さんとの撮影の帰り、カフェで撮影データのやりとりをしながら雑談した際に出た話をネタに、今回はFinalCutProの「マルチフォーマット、マルチアスペクトのシーケンスの作り方」について話してみたいと思う。ちょうど今月号のビデオサロンで同じような内容が特集されていたので若干かぶってくるが、弊社では今まで通常やってきたことが、意外な事に「目から鱗」だったようで、わりと小ネタなのだけど、ご紹介したいと思う。

話の発端は、「納品映像の赤がにじんで困ってる」

AEでのレンダーキュー画面

弊社は本来、映像制作全般を請け負っているが、筆者がカメラマンということと撮影機材も一式そろっていることから、撮影のみの受注も多い。そして依頼くださる方の多くは同業者。ある日の撮影の帰り、撮影データを相手方のPCにコピーするため、都内カフェに入った際に雑談で出た話。依頼いただいた方の話によると「最近やっている案件で、どうしても赤がにじんでしまって、お客さんからクレームが来て困ってる」とのこと。おそらくフォーマットがDV_NTSCだから、そうであれば避けられない問題。特にAppleコーデックのDVは古くから画質の評判は悪い。黒に赤などの場合はモザイク状態になり。正直見るにたえない。よく話を聞くと、AfterEffectsから案の定Apple DV形式で書き出しているとの事。それをFinalCutProで編集し、最終的にCompressorでMPEG2にエンコード、DVDを作成して納品したというのだ。であれば、AfterEffectsからロスレス（アニメーション）もしくはProResで書き出して、それをFinalCutProで編集してからMPEG2に書き出し、オーサリングしてみてはと提案してみた。しかし、その方の話では、ロスレスやProResで書き出した場合、FinalCutProでそれに対応したシーケンスの作り方がわからないということだった。ああ、意外なところで盲点になっている部分があるのかなと思った。

ドラッグ＆ドロップで出来る独自シーケンス

FCPの「シーケンス適合機能」

FinalCutProには、いつのバーションからかは定かでないが（Studio2からだったか？）、ブラウザに呼び込んだムービーファイルをシーケンスにドラッグアンドドロップすると「シーケンスの設定をクリップの設定に合うように変更しますか？」というアラートが出てきて、OKを押すと、そのムービーファイルのフォーマット、サイズ、アスペクトに沿ったシーケンスを自動で作ってくれるといった、とても便利な機能がある。これを応用すれば、様々なフォーマット、サイズ、アスペクトの映像の編集が快適に行える。レンダリングバーが出てくることはない（一部、音声が編集環境に準拠していない場合はレンダリングが必要）さきほどの話の場合だと、AfterEffectsで、ロスレス圧縮の720x480(ピクセルアスペクト：0.91）29.97fpsで書き出して、それをFinalCutProで適当なシーケンスにドラッグアンドドロップ、出てきたアラートのOKボタンを押して、一度、それに適合したシーケンスを作っておく。あとはAfterEffectsで必要なムービーファイルをレンダリングし、FinalCutProに呼び込んで、既に作成してあるシーケンスで編集→Compressorに送信すればいい。これで赤の色にじみはある程度おさえられると思う。

応用でいろんなアスペクト比の映像も快適編集

960x300なんて映像もネイティブに
今回のネタを応用すれば、4:3や16:9以外にも、縦型、スクエア、シネスコなど、既存のフォーマットにとらわれず、AfterEffectsなどで作成した様々なサイズの映像を快適に編集できる。PCで映像を見せることが多い昨今において、まさに「マルチアスペクト」時代が到来。デジタルサイネージなどは縦型も登場したり、よくわからない国のメーカーのフォトフレームなど、聞いた事が無いアスペクト比の映像だったりする。独自のアスペクト比の映像をネイティブ状態で編集可能になるのは、想像以上に快適だ。意外にこの方法を利用している方がいなかったようで、ちょっとした小ネタとして今回は書いてみた。ちなみに、今月のビデオサロンでは、FinalCutPro以外に、エディウスなど、違うソフトでのマルチアスペクト編集の方法も掲載されてました。（筆者は決して玄光社の関係者ではありません）

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