2014年5月8日 of GAIPRO.NEWS

WHDI202TR

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

GH4Kという名のリトルモンスター 後編

2014.5.8

GH4

ゴールデンウイークを利用してGH4のポテンシャルを確かめるべくさっそくテスト撮影に乗り出しました。まだ朝早い日の出前の湖岸(琵琶湖 湖北〜近江八幡)、装備はGH2やBMPCCのために作っためちゃ軽セットです。結果としてそこに想像を越えた世界が待っていました。


4Kとは単純にレゾリューションの話なのか?という問いかけに対して疑問が湧くほどです。もちろんハイエンドの世界ではGH4の4Kを敢えてここまで評価するものではないでしょうが、GH4のスゴいところは、ミラーレス一眼、しかもフォーサーズといったコンパクトデジイチで内部4K収録が出来きてしまうところです。それでいて出る画が大したことなければ、ここまで驚く結果にはならなかったでしょう。ただしいいことずくめでは無いのも事実です(ローリングシャッターやクロップファクター、etc)そんな悩ましい部分含め、GH4をこれから愛していくために、弊社が実際の業務に組み込むためのフローを考察しながら、弊社なりの画質評価や使い勝手を再度レポートしてみたいと思います。

iPhone画面でタッチAF?最強のWi-Fi機能

GH4明るい液晶のiPhoneはJIB運用時のモニターにもなる。そのまま親指でREC開始。画質云々を話す前に、前半のレポートの時点では見落としてしまっていたいくつかの機能・操作性がありました。その一つがGH4のWi-Fi機能です。今回のテスト撮影ではKesslerのPocketJibTravelerにてクレーンショットを狙っていますが、この時に強力な武器になったのが携帯していたiPhoneです。GH4のWi-Fi機能をONにすると、各タブレットやスマホと連携する事が出来るのですが、先日のFacebookでもお伝えした通り、ほぼすべての操作(REC、ISO、シャッター、アイリス、WB、対応レンズのAF、AEシフト、ズーム、etc)がアプリ内で出来てしまいます。もちろんREC中もiPhone画面でライブビューが可能で、遠隔での画角確認が容易に出来ます。
ペアリングはP2Pで出来ますので、特別なアクセスポイントを持って行く必要もありませんし、接続はQRコードを利用して簡単にペアリング出来ます(もちろん他の方法もあります。)一度ペアリングしてしまえば、それ以降は履歴からすぐ同じ機器に接続できます。タブレット等のほうが大きく使いやすいという意見もあると思いますが、弊社としては片手で親指で操作できるiPhone程度のスマホがベストです。今回も右手でJIBを操作し左手でiPhoneを持ちながら親指でREC→画角確認→REC止める、という方法で撮影を進めていきました。

iPhoneゼブラやピーキング表示、タッチAFが出来るのは便利 ゼブラやピーキング表示もiPhone画面に反映されるので、その場でのフォーカス確認、露出確認にも難がありません。さらにiPhone画面をタッチする事で、タッチAFも可能です。残念なのは、後述する空間認識AFの精度です。せっかくiPhoneでタッチAFが出来るのに、タッチしてフォーカスを送る際、必ずワブります(焦点が行って帰ってくる動作)フォーカスを送っている間は、その映像は事実上使えません。スマホでフォローフォーカスという破天荒な弊社の希望が夢砕かれた瞬間でした。ただしスマホでのタッチAFはレンズに手を伸ばす事なく任意の場所にフォーカスをとる事ができるので利用価値はあります。オートフォーカス時には顔認識や追尾などの切り替えが出来ます。マニュアルフォーカス時にはピーキングのON/OFF、種類が選べ、iPhoneの画面上を2本の指でスワイプすると拡大フォーカスになり、ダブルクリックすると拡大フォーカスが消えます。もちろん操作性は実機での操作とまではいきませんが、遠隔での操作としては十分実用範囲です。ただし音声レベル表示やヒストグラム表示、ガイドラインは出ないようです。また、何故かカメラでヒストグラムを表示している間は、iPhone画面には「カメラ側で操作中」の表示が出っぱなしになりリモートが出来ませんでした。

 弊社が去年導入したJVC GY-HM650は当時Wi-Fiリモートで話題になり、弊社もスマホでのリモート操作に利便性を感じていましたが、それにしてもここまで出来るWi-Fiリモートは現段階では類を見ないと思います。今後ファームでどのように熟成していくのか楽しみです。

今回はiPhoneでの話が前提で、他のスマホやタブレット等では繋がりにくかったという話もいくつか上がっているようです。使用条件や仕様場所に左右されやすいかもしれません。


フル1日、4K収録しても十分なバッテリー

 今回のテスト撮影で驚いた事の一つにバッテリーの持ちがありました。DMW-BLF19はGH3と共通のバッテリーですが、4Kで撮影していて、比較的電源入れっぱなしでも半日は持ちました。(もちろん常時電源入れっぱなし、RECしっぱなしではありません)1日のロケであれば、DMW-BLF19が2本で事足りてしまう感じで、テスト撮影前には、純正バッテリー2個と予備として中華製の互換バッテリー1個を持って行きましたが3本目に行く事はありませんでした。今の所互換バッテリーでも問題なく長時間の録画が出来ていますので、使い捨ての感覚で予備に数個買っておくのもいいかもしれません。消費電力に関しては、液晶/EVFの30P表示やバックライト設定、パワーオフ設定等で、さらに省電力に持って行けるようです。このあたりの切り替えを設けているのがメイドインジャパンぽいですね。BlackmagicPocketCinemaCameraの撮影で30分も持たなかった事に馴れてしまっていたせいか、このバッテリーの持ちは実に感動的でした。
こうなると逆に悩ましいのがYAGHGでの運用時です。12V電源が必要なので、YAGHGでフィールドで使う場合、どうしても装備が大きくなります。NP-F970系バッテリーをアップコンして12V仕様にするか、ハンドヘルド型XDCAM系のバッテリーを利用すれば多少コンパクトなシステムは組めそうです。(たとえば、こういったもの、とか?)


話題の空間認識AFは使いどころによる

 過度な期待感とともに登場した空間認識AFですが、標準ズームであるLUMIX G VARIO HD 14-140mm/F4.0-5.8 ASPH./MEGA O.I.Sを前提に話をしますと、場面によりフォーカスが泳ぎまくる事はもちろん、最大の難点はフォーカスを送った時に画がワブる(フォーカスの行き帰りが発生)事です。CanonのデュアルピクセルCMOSも場面により泳ぎまくるのですが、送った時のフォーカスの止まり方が良いので、GH4のAFは非常に残念です。結局は(あくまで筆者の感覚ですが)GH2から進化した印象はありませんでした。(4K撮影時前提です。FHD撮影時は多少機敏なAF)ただ、追尾フォーカスの精度は多少良い感じがします。もしかしたらレンズによるのかもしれません。このワブリングが解決されれば、前述したiPhoneでのタッチAFによるフォローフォーカスが実現できます。クレーンアップしながら手前から奥にフォーカスを送る等の動作が片手でiPhoneで出来たら利用の幅が広がりそうですが、現時点では諦めるしかありません。顔認識に関しても、全画面に対して比較的顔の面積が大きくないと認識してくれないようです。一旦顔を認識すると、瞳の部分に十字ラインが現れて瞳を中心にフォーカスを追っているようです。残念な事に顔がちょっとでも横になるとフォーカスが外れてしまう感じです。そこでAFが止まっていればいいものの、‥ワブ、ワブ‥。筆者の印象では総合的にはCanonのデュアルピクセルCMOSのほうが使えるAFでした。

GH4AE/AFLOCKは動画記録中はうんともすんとも機能しなかった。また前編で触れていたAFロックのボタンですが、どうも動画撮影時は機能していないようです。コンテニュアスAF時に、ここぞという部分でAFを止めたい、といった使い方が出来ません。逆にシャッター半押しでのPush AFを使うと、今度はピント合点時にワブリングが出ます。この事から弊社の結論は

1)フルタイムAFは実質使い物にならない。
2)タッチAFやシャッター半押しのPush AFによるフォーカス送りも実質使い物にならない
3)AFが使える場面は、ある一定の動作での追尾AFか、多忙時のタッチAFくらい

という結果となりました。

今回のテスト撮影で感じた事。やはり4Kはシビア

GH4NDフィルター内蔵でないところは結局DSLR 今回のテスト撮影では、基本マニュアルモードでの撮影でしたが、弊社YouTubeで公開していない映像の中に、カメラをデジと同じように手持ちで使った場面もありました。この場合、コンテニュアスAFは迷う事が多かったので、基本的には最初だけシャッター半押しでAFをし、AF連続動作をオフにして、必要時にシャッター半押しでピント修正、という方法での撮影でした(結局はGH2の時と同じ)。NOKTON等のマニュアルレンズ運用時は拡大ボタンを押して最初のフォーカスを決めて、REC後はピーキング(H)を使いフォーカシングしました。露出はゼブラの他に、GH2やAF105でも搭載されていた適正露出表示(+と-で画面下に表示)も目安になりました。このように、手持ちでデジのように使う場合、マニュアルモードでの運用は難がありすぎるので、室内ならシャッター優先、野外ならアイリス優先で使い、必要に応じてAEシフトボタンを押してすばやく露出調整、という具合に撮影を進めて行きました。

 撮影した素材を見返してみて思った事は、4Kの場合、ちょっとの深度の差でも確実にピントに影響する、また小絞りボケも目立ちやすいという事です。さらに、これはHDになってから特に注意するようになった事ですが、無限遠でのピントの合わせ方も要注意です。どのカメラにも言える事ですが、特にMFTのレンズではフォーカスリングを無限に合わすとフォーカス外す事が多いので、ここは確実に拡大フォーカスをして、ピーキング(H)等を有効に使いフォーカシングしたほうがいいです。GH4は拡大フォーカス&ピーキングがとても使いやすく、無限遠のようなパンフォーカス時でのフォーカスも外す事なく撮影できました。(GH4は前編で述べた通り距離表示が無いのが痛いのですが‥)小絞りボケに関しては、大判素子であっても2ケタ台の絞りは危険のようです。やはりシャキっとした画を日中で撮影するために、NDフィルターは必須と感じました。ただし、シャッタースピードに目をつむれば、高速シャッターで絞り調整、という場面も出てくるかもしれません。今回はシャッターも余裕で1/2000を越える場面がありました。AF105のロータリーNDがGH4では諦めなければならない事実がつらいところです。

 ところで、今回のテスト撮影の色温度ですが、実はすべてオートで撮影しています。AF105時は、オートWBがダメダメでほぼ使っていなかったのですが、GH4は印象としてはかなり優秀で、これならオートWBでも十分実用範囲であると感じました。用途や場面によりますが、オートWBの活用は役に立ちそうです。また今回は特に操作はしていませんでしたが、GH系は、マニュアルWBの際はブルー/アンバーの他、GとM方向にも色を振れるので、AF105より細かいWB調整が可能です。もちろん100k単位で色温度も指定できます。WBの色の取り方もEOSのような画像を撮影する面倒な仕様ではなく、通常のビデオカメラのようにプッシュAWBで合わせる仕様です。


待ちこがれたCINE LIKE Dの搭載

GH44Kの情報量の多さからか、シャドウからハイライトまで、非常に滑らかに感じる。(クリックでオリジナル拡大)さて、ここからはいよいよ画質の話に移ります。画質に関しては正直カメラマンの好み、感じ方で意見がもっとも分かれる部分です。ですので、あくまで弊社の印象であって、参考までに留めていただきたいと思います。AF105を使っていた理由の一つに、バリカム時から継承されているCINE LIKE Dのガンマカーブがあります。(厳密にはカメラの個体差もあり、まったく同じではありませんが^^;)GH2/3の時は搭載されず、どうしても暗部のつぶれに不満が残っていたのですが、暫定AF105後継という事もあってか、GH4にサクっと搭載してきました。そこで今回のテスト撮影では基本的にCINE LIKE Dでの撮影でしたが、印象としては、AF105よりさらに柔らかい感じを受けました。また4Kの情報量と相まってか、非常に諧調が滑らかでかなりのHDRを感じます。撮影した早朝の琵琶湖の映像で言えば、手前のシャドー部分から、無限遠に広がる水面や空、日差しかかった森のハイライト部分まで、つぶれる事なく非常に滑らかです。残念ながら4Kモニタでちゃんと確認できたわけではないのですが、弊社にあるiMacの画面でフル(おおよそ2.5K?)で見て、思わず溜め息がもれました。所詮スペックが8bit 4:2:0でしょ?という意見も。いやいや、現段階では弊社には十分すぎます。驚くべきは、これがミラーレス一眼の内部収録のSDカードから出てくる映像、という事です。

GH4ハイライト-2/シャドウ+2で暗部を多少持ち上げてみる。HDRの場面では実用範囲の印象。(クリックでオリジナル拡大) AF105にはダイナミックレンジストレッチャー(以下、DRS)がありましたが、それに変わる機能として、ハイライト/シャドウ機能があります。CINE LIKE Dはおそらくどのピクチャースタイルよりダイナミックレンジが確保できるものと思われますが、それでも今一歩ハイライトやシャドウを調整したい時にこれを使います。ただしDRS同様、暗部に関しては無理矢理持ち上げる結果になりノイズも目立ってきます。弊社で一番使ったのは「ハイライト-2/シャドウ+2」でした。これくらいの調整ですと、場面によっては実用範囲です。尚、ハイライト/シャドウは、任意のカーブを3つまで記録しておけます。実際の運用では、CINE LIKE Dとハイライト/シャドウの組み合わせで、できるだけダイナミックレンジを収めておき、後にカラーコレクションで多少補正する、という用途も考えられます。特に色は淡くなる場面もあるので、後処理で部分的にコントラストを付けてあげるといいかもしれません。GH4ハイライト/シャドウ調整画面。ガンマカーブが出るUIが分かりやすい。

 あとは、AF105の時に感じたハイライトの嫌な?飛び方ですが、これについては引き続き残念な印象です。なんというか、黄色や緑に色が転んで、そのまま白になっていく、色ニジミ?が出る感じの飛び方です。GH4も残念ながら同じ傾向が見受けられました。特に発光体を撮影する時など、正確な色が出ない場面もあるので、注意が必要です。
 暗部のノイズですが、AF105と比較してもかなり良好なようです。ただFHDで撮影すると、それなりに出てくるので、4Kで撮影してFHDにダウンコン、というのがS/Nの向上につながるかもしれません。今後、GH4のS/Nは別の機会に調べてみたいと思っていますが、あくまで現段階の印象レベルの話でした。(ここ、一番知りたかった方はすみません‥。他の情報をアテにしてくださいませ、たぶん、誰かがここを中心に情報を上げてくるはずですw)

MP4 4KをAVC Intra FHDに取り込む

 4Kの情報量に圧倒された弊社ですが、これは単純に解像度の話だけではない気がします。滑らかに感じる諧調には確実にこれまでのFHDを越える色の情報があり、あくまでGH4の内部収録した4K映像は4:2:0ですが、これをFHDに凝縮したとすると、単純に色の情報は4:4:4有る事になります。そこで素人考えでGH4で収録した3840x2160(8bit 4:2:0)のMP4を、AdobePreludeを使って 1920x1080 AVC Intra100(10bit 4:2:2) に変換/取り込みをしてみました。また、ついでにSamuraiBladeを使い、GH4のHDMI出力モードを10bit4:2:2モードにして、FHDダウンコンのProRes422HQ受けも試してみました。後述しますが、現段階でAtomos SamraiBlade(Connect H2SにてHDMIをSDI変換)ではGH4の60iか24pしか受けられず、今回の検証は24pで統一しました。

GH4クリックでオリジナル画像拡大

GH4クリックでオリジナル画像拡大

1)は単純にGH4内部でFHDで受けた場合
2)は、GH4で4K収録して、それをAdobePreludeでAVC Intra100のFHDに変換しながら取り込んだ場合
3)は、GH4のHDMIアウトを10bit4:2:2モードにしてSamuraiBlade経由でProRes422HQで受けた場合です。

GH4ISOは200で撮影今回の評価方法ですが、会社のiMacにAfterEffectsで作った青、赤、黒の3色カラーグラデーションをフル画面表示、それを画面一杯に撮影しています。ピントはわずかに外して液晶のジャミを消し、色の諧調が滑らかになるようにしています。一度収録した素材をAfterEffectsにそれぞれ呼び込み、主に色味のある部分から黒になっていく部分を300%拡大。分かりやすいように、赤から黒の部分はAEのコンポ上でRチャンネルマップをON(白黒)にしたもの、青から黒の部分は、同様にBマップをONにした状態でスクリーンショットをとり、それを並べてみました。尚、AEのコンポの色深度は32bit floatです。この方法が適切かどうか分かりませんが、これで見る限りは、諧調の良さは、

AtomosSamuraiでのProRes422HQ収録 > 4K収録からAVC Intra100のFHD変換 > FHD収録

のようです。この事から、今後の弊社の運用方法としては、収録時はとりあえず4Kで収録しておいて、取り込み時にAdobePreludeを使って、AVC Intra100のFHDにダウンコンしながら取り込む方向を考えています。(PanaのAVC Intra100は100Mbpsで、ほぼGH4の4K収録時のビットレートと同じ。SONYのXAVCもFHD30pでは120Mbps程度で同じく10bit4:2:2なので、XAVCという選択肢もあり)AVC Intraであれば運用も楽で、PremiereProやAfterEffectsでの取扱もそこまで重くない、GH4 4K収録のFHD運用にとってはベストの中間/作業コーデックになりそうです。

GH4では避けられないモアレとローリングシャッター

 さて、前半でいいことばかり羅列してしまったので、現状で考えられる問題点もいくつか取り上げておきます。ただ問題部分だけを叫んで「使えない」と片付けるのではなく、きちんと理解した上で実際の運用に当てはめていく事が重要です。現状でまず頭痛い「避けられない」問題点は大きく2つ、モアレとローリングシャッターです。まずモアレですが、ローパスが仕込んであるHD画に最適化されたローパスフィルターが仕込んであるAF105にくらべて結構出ます。4Kにした場合は、高画素分だけモアレが繊細になり、場面によっては許容範囲になるかもしれません。一方、GH4のFHD収録時は、比較的盛大に出てしまいます。それぞれのA比較映像切り出しもアップしておきます。( "ローパス"、という表現が誤解を生みました。ご指摘がありましたので、修正いたします。:2014/5/18

GH4クリックでオリジナル画像拡大
 結果として、GH4での内部FHD収録は避けて、収録自体は4Kで行い、PC取り込み時に、なんらかの形でFHDにダウンコンバートをしたほうがいい結果になりそうです。こういう用途ではAdobePreludeはとても役に立ちます。素材管理から任意のフォーマット、コーデックへ変換しながら取り込む事が可能です。一番身近なDITソフトと言えるかもしれません。
ついでにエイリアシングノイズ/ナナメのジャギの件について若干触れておきます。FHD運用時のジャギ具合ですが、AF105と比較すると、若干良い感じです。特にGH2ではナナメラインはとても悩ましいものがありました。場面によりジャギジャギになりとても見れたものではなかったのは事実です。これに対しGH4はだいぶマシになった印象です。ただ、これも4Kからのダウンコンをしたほうが、結果はさらに良くなる気もします(未検証)結論としては、ポートレート等のシャローフォーカス運用時はそれほど気にしなくてもいいかもしれませんが、弊社のような企業VPがメインで、外観や機器、風景撮影が多い場合、パンフォーカス時には特に注意を払わなければなりません。GH4を今後メインのカメラにする場面でも、必ずサブのデジ(HM600等)を一台常備しておく必要がありそうです。

 次にローリングシャッターですが、評価方法として、三脚にAF105とGH4の2台を載せてほぼ画角を合わせ、左右にかなり早いパンをして収録しています。(弊社の通常撮影で、まずここまでの早いパンをする事は有りませんが‥)

GH4クリックでオリジナル画像拡大
 AF105と比較した場合、GH4のFHD時はほぼ互角、4K時はけっこうナナメになります。4K収録を基本とした場合はかなり悩ましい部分です。通り過ぎる高速物体の撮影、また手持ちでのブレ時は注意が必要です。あとでソフトウェアスタビライズをしてブレ軽減、という用途にはまず使えません。しっかり三脚に構えて、手持ち時は手ぶれ補正機能を利用するなどして、なるべくローリングの出にくい撮影を心掛ける必要がありそうです。

外部収録時、60pや30pは鬼門

 GH2の時もそうでしたが、どうもGH系のHDMIから出る信号は他の機器と相性がイマイチな気がします。GH4から出るHDMIも、弊社にあるAtomosNinja、及びSamuraiBladeでは60iと24p以外、ちゃんとした信号が来ませんでした。GH4の4K内部収録で十分イケると分かったので現状でとくに大きな問題点ではありませんが、バックアップをどのように取ればいいか悩んでいます。AF105運用時はSDIアウトからの映像をSamuraiBladeで受けてバックアップ収録していました。SDカードに問題が出てSamuraiの映像に救われた、といった場面は一度もありませんでしたが、やはりバックアップ体制を作っておかないと現場で結構緊張します。後が無い撮影現場ではバックアップは必須です。現状ではバックアップ必須の場合は4K時は24p、FHD時は60iにしての収録になりそうです。せめてAF105と同じように、GH4側の30p出力を60iに変換してくれていたなら、30pも受けられたと思います。(Blade側で60iを2:2プルダウン)このあたりも今後、Atomos側のファームの対応等で解消される事を期待しています。(未検証ですが、この問題はおそらくYAGHGを使っても同じ結果と見ています)

今後のGH4運用スタイルは4K収録メインのFHD編集

 GH4が吐き出す4Kの画に圧倒されながらも、実際の業務ではSD〜HDでの案件がほぼ100%です。そこで、弊社の当面の作業フローとしては、GH4にて4k 30p収録 → AdobePreludeにてAVCHD Intra100のFHDに取り込み → AdobePremierePro及びAfterEffectsで編集という結論になりそうです。ProRes422でもいいのですが、よりファイルサイズを効率よく圧縮してくれるAVC IntraやXAVCに注目しています。(おおよそ、ProResの半分のファイル容量になる計算です。)4K収録のFHD運用ですと、結果として、多少のモアレ軽減や4Kの色諧調の保持等でもアドバンテージかと思います。(10bit4:2:2のフォーマットで受ける事が前提)

 ただし4K運用ではローリングシャッターが半端ありません。また今回は触れていませんが、実際の撮影現場で煩わしかったのが4K撮影時のクロップファクターです。BMPCCの時もそうでしたが、4K収録時は約2.6倍のクロップファクターが出てきますので、引きたい時には結構ツラいです。標準ズームでは最広角が14mmですが、35mm換算で36mm程度になってしまいます。今回の現場では、いままで標準ズームで行けた場面も7-14mmのレンズに交換する結果となりました。クロップファクターは今後GH4の4K収録において話題の中心になりそうです。

 今回はかなり長文になってしまったので、そろそろ終わりにしたいと思いますが、その他、触れていない部分で、GH系に初搭載されたシンクロスキャン機能や、ファイルサイズ分割、スパン結合等、細かい部分もありますが、スパンの問題については検証済みで、弊社Facebookには結果報告しています。(結合部分で特に目立ったトラブルは無し)今後、実際の運用に際してまた発見等がありましたら、再度お伝えしたいと思っています。

最後に、今回書かせていただいた情報は、あくまで弊社内の撮影、検証に関して書いたものであり、かなり弊社よがりな情報、という事だけお断りさせていただきます。オフィシャルな情報ではありませんのでご注意ください。今後、実際の運用の時点で分かった事により、随時情報を修正する可能性もあります。ご了承ください。


関連記事/関連リンク

【GAI News.140428】GH4Kという名のリトルモンスター 前編
【GAI News.131002】手のひらに乗る13STOPのHDRカメラ
【GAI News.130911】最小で最大の撮影を実現させる機材選び

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

お問い合わせ

LinkIconinfo@gaipromotion.co.jp

〒154-0004
東京都世田谷区太子堂
3-14-8
太子堂COMPLEX 2F
TEL/FAX 03.5787.6511