2014年7月24日 of GAIPRO.NEWS

WHDI202TR

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

GH4番外編 マグネット式リアNDフィルターを作る

2014.7.24



↑4Kで撮影&編集しています。環境が許す限り4Kでご覧ください。

 このマグネット式リアNDフィルター、弊社Facebookで小出しに情報だけ記載していましたが、試行錯誤の上そこそこいいものが出来上がったので、作り方含め紹介したいと思います。晴天時の屋外撮影で必須なのがNDフィルターです。かねてからMFTファンの弊社ですが、問題を提起したのが広角撮影では必須のLUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0 ASPH7-14mmレンズ前面にフィルターを付けるのは難ありこのレンズ、かなり使用頻度があるだけに晴天時屋外での露出調整は悩みどころです。特にGH4等のDSLRにはNDフィルターが内蔵されているわけではないので、別途NDフィルターを用意する事になるのですが、7-14mm/F4.0はレンズ前にフィルター径のネジ山が切ってあるわけでなく、そもそも魚眼でレンズが盛り上がっているので、そのままでは単純にレンズ前にフィルターを付ける事ができまん。ケラれなくNDフィルターを付けるためには、レンズ前にそこそこの装備が必要になってきます。また広角をカバーするために大型になります。

 唯一のMFTシネマカメラであるAG-AF105の撮影ではレンズリアのロータリーNDが装備されていたため特に問題になりませんでした。しかし残念ながらその後継も出る事なく、MFT動画派の未来はあくまで「写真機」であるDSLRのGH4に受け継がれたのです。そこで、GH4にND機構が無ければ、無理矢理NDフィルターを内蔵してしまえばいいのでは?という単純な発想からリアNDフィルターの自作に至りました。(もちろん、GH4だけの話ではなく、MFTマウントのカメラすべてが対象です)

NDイメージサークル回りに若干の取り付けスペースを見いだす 注目したのは7-14mmのイメージサークル回りのフチに若干の幅がある事です。ここにNDフィルターを取り付けるスペースを作れそうです。試しにFUJI FILMから出ているトリアセテート製のシートNDをイメージサークルの大きさに円形切りして黒ボール紙の円形枠を付け、「ひっつき虫」という簡易固定粘着材を使い装着してみましたがウマくいきました。ただ、この方法だと現場でのNDフィルターの脱着に難があったため、マグネット脱着式のリアNDフィルターを考案。部材は単純で、これも日曜大工レベルです。実はある程度完成形になるまでかなりの試行錯誤があったのですが、ここでは結果のみお伝えします。ポイントは、切り易い円形カッターと、ほどよい厚みのマグネットシートを用意する事です。


用意するもの(弊社推奨品)

【スチールシート】シンワ測定 スチールシートシート(10x20cm 0.2mm厚 2枚入り 粘着材付)
【マグネットシート】アイ・エス 片面粘着付マグネット(100x300mm 0.8mm)
※弊社はキャンドゥで購入。ネットではあまり見かけないのですが、ヨドバシの「ミツヤ mitsuya MS-2L [片面粘着マグネットシート]」が同等品のようです。
【円切りカッター】NT 円切りカッター C-1500P
【シートタイプのNDフィルター】
・Kenko LEE ポリエステル09ND(推奨、耐久性が高く扱い易い)
・もしくはFUJIFILM ND-1.0 光量調整用フィルター 7.5×7.5(切り易いが耐久性に難あり)
【カッティングシート】それほど大きなものでなくてOK

マグネット部材はこれだけND右が耐久性高いKenko製、左が薄くて馴染みのあるFUJI FILM製円切りカッター円切りカッターはそれなりのものを。100均で売っているは避ける


1)レンズリアにスチールシートを張り付ける

スチールシートイメージサークルぴったりに貼れるか、ここがキモの作業 カッティングシートの上で、スチールシート(粘着付)をイメージサークルのフチに合わせた大きさに円形カットし、レンズリアに貼付けます。(円切りカッターは刃の出具合と中心の針の出具合がポイントです。中心を押さえるのでなく、カッティングシートごと針でしっかり固定しないとダメ)内径が2.0mm外形が2.35mmで切るとちょうどいいです。コツは、シート全体を動かないようしっかり押さえた状態で、内径から切っていく事。内径を切ったらカッターはシート面から離さず、そのまま刃だけを外径まで移動させて、そのまま外径を切る、という事です。(途中でカッターをシート全体から離してしまうと中心がずれます)また薄くてもスチールなので完全に切れるにはある程度力を加えながら何周か回さなければ切れません。力加減では位置がズレて綺麗に円形に切れない場合もあります。この作業は慣れとコツが入りますので、いらないもので練習してからのほうがいいです。また切り幅の誤差は多少出ることから、数パターン作成し、いちばんピッタリなものを最終的に貼付けるようにします。特にBMPCCに装着を考えている場合、通常のMFTマウントよりイメージサークルが狭く、スチールシート輪っかがちょっとでも大きいとレンズがはまらなくなるので注意です。スチールシートをレンズに密着させる前に軽くレンズに何かで固定して、一度カメラにはめて様子を見るのが良いです。また、このスチールシートは円形に切った後、粘着面保護の紙を剥がずのが結構難しいです。指で無理に剥がそうとするとシート自体がダメになる可能性が高いので、カッターの刃先等で慎重にシートを剥がすのが吉です。まずこのシートをイメージサークル回りに貼っておく事で、マグネット脱着が可能になりますので、ここはキモの作業となります。

【追記2015年4月16日】
円切りカッターの目盛りは直径を表しているため(1目盛りが直径2 mm)、正確には内径が2.0 mm外形が2.65 mmではないかというご指摘をいただきました。大変失礼いたしました。作り方や環境に左右されると思いますので、実際に作る際には、一度いらない紙等で、良いサイズを事前に確認ください。BMPCC用以外は、そこまで大きさに神経質にならなくても大丈夫だと思われます(ただし、電子接点にかぶらないのが大前提)


円切りカッター中心を針でしっかり押さえて最後までズレないようにする(写真はマグネットだが要領は同じ)円切りカッター内径を切ったらカッターはシートから離さず刃先だけ外径に移動スチールシート失敗すると、こんな感じ。悲惨な傷跡だけ残る。



2)マグネット枠を作成する

ND右が厚手マグネット枠とKenko製ポリND、左が薄いマグネット枠でサンドしたFUJI FILM製のトリアセテートNDスチールシート貼付けが無事に終わり、その状態でカメラ本体とレンズが問題なく装着可能な事を確認できたら、次はフィルターの枠になるマグネット枠を作ります。スチールシートと同様、内径2.0mm外径2.35mm(※上記に追記あり)で円形に切ります。しっかり切るにはカッター中心の針をカッティングシートごと確実に刺して中心を固定し、内径→外径の順でカットします。また薄いタイプのマグネットシートだと切っている最中に位置がずれやすく、たんざく状態になりやすいです。弊社の経験から上記記載の推奨商品のような、ある程度厚みのあるものが切り易く、結果としてフィルター運用時、指でつまんだ際に折れにくいのでオススメです。ここまで行き着くのにかなり試行錯誤しました。前述した通り、BMPCCの場合はイメージサークルのスペースがシビアですので、NDフィルターを仕込む(次の行程 3の)前に、ちゃんとレンズがはまるか確かめてからのほうが良いでしょう尚、GH系等、通常のMFTイメージサークルは余裕あるので、そこまでシビアにならなくても大丈夫です。

3)マグネット枠にNDフィルターを張り付ける

NDKenko LEEフィルターは枠付だが、一辺のこしてハサミで切ってしまうと使い勝手がいい いよいよNDフィルター登場です。フィルターは指紋や傷などが付くとアウトなので、慎重に作業します。ひとまず開封した際にフィルター保護をしていた紙を利用しながら、なるべくフィルターに指がつかないよう工夫してカットします。カットできるフィルターは前述の通り2種類あり、一つはケンコーから発売されているLEEフィルタータイプのポリエステルND、もう一つは、おなじみのFUJI FILMから発売されているトリアセテート製シートNDフィルターです。ケンコーのND9は3STOP、FUJI FILMの1.0は3と1/3STOPの減光になります。それ以上の減光を望む場合は、FUJIのトリアセテートのみになります。弊社の場合、3STOP程度落とせれば実用的と判断、また出来るだけ耐久性が高いほうが良かったので、最終的にケンコーのポリエステル09NDを推奨としました。また心配される画質面の影響ですが、GH4で、ノーフィルター、ケンコー、FUJIと撮り比べてみましたが、4Kモニターで見てもポリエステル(ケンコー)とトリアセテート(FUJI)の違いはほとんど感じられませんでした。むしろノーフィルター時にくらべ、2ケタ以上に絞らずに済み、画面はシャープでした。
 さて、ケンコーのND9の場合は、最初からプラ枠付なので切る際に注意が必要です。枠は無理に剥がずよりハサミで切り落としてしまったほうが良いです。(その際、持ち手部分を考えて一辺だけ枠を残すのがポイント)枠は切る際、それなりの力が加わるので、フィルター自体を傷つけないよう注意します。枠を切り落としたNDフィルターを、不織布やレンズ拭き取り紙(もしくはあぶらとり紙のようなもの)の上に置いて、2)で作っておいたマグネット枠の粘着面保護シートを剥がし、慎重にフィルターの上に置くように粘着面と密着させます。NDフィルターを枠の範囲だけ四角く切り取り、あとは円にそって、余分なフィルター部分を切り落とし完成です。FUJI FILMのトリアセテートも基本的に同じ作り方です。ただ、より薄く耐久性が無いので、さらに慎重に作業をします。一方で切り易いので、逆に作り易いかもしれません。ウマく切っていけば、1枚のNDフィルターから9個くらい作れます。

ND切った枠の粘着面保護紙を剥がし、NDに置くように貼付けるND余裕をもって、枠の大きさに、とりあえず四角く切るND枠からはみ出たNDを綺麗に切り取って完成!



実際撮影してみて/NDの保管/メンテ

ND(左)のペラペラNDから始まり、試行錯誤の末、完成度が高まった(右) 試行錯誤したかいもあり、かなりしっかりしたものが出来たと自負しています。最初はFUJI FILMのトリアセテートNDを切って、ペラペラのマグネットシートでサンドイッチして作っていたため、現場で使う際、不用意に力が入ってしまいグニャって事もありました。今回ご紹介した、0.8mm程度の厚手のマグネットシート(粘着付)と、ケンコーのポリエステルタイプのNDフィルターで作ることで、耐久性も高く、現場で取扱い易いNDフィルターが完成したと思っています。さらにペラペラのマグネットシートより磁力による密着性が高いです。実際にGH4 4Kで撮影してみましたが、ケラレの心配もなく、しっかりとした撮像が得られました。(冒頭のYouTube映像を参照)また心配された磁力による電子接点の誤作動も今の所起きていません。レンズ前面だと、どうしてもNDの面積も必要ですし、費用対効果を考えても、リアNDの効果は高いと思います。難を言えば、マグネットの細いフチを上手に持つのは若干のストレスですが、イメージサークル内に収めなければならないため、持ち手が設けられず、ここは目をつぶるしかありません。これだけは慣れるしかないですね^^;

SDカードケース余ったSDカードケースはどこかに散乱してる可能性大なので利用するマグネットリアNDの保管ケースですが、いらなくなったSDカードケースを利用するのが良いです。CDケースとして売られている不織布付のクリヤファイル系ケースをハサミでバラして、不織布のみを取り出し、ケースにあわせてカットします。両面テープ等で、カットした不織布をケースに張り付け、ND保護シートとします。また、ケース内のSDカードを固定する4つのツメが、ケースの中でフィルターがコロコロと動く事を防いでくれます。
 最後にフィルターに指紋やなんらかしらの跡が付いてしまった場合ですが、クリーニング液があらかじめ染み込んでいる拭き取り紙でやさしく拭ってあげて、乾わくのをまってからダスター等でホコリを飛ばしてあげるのが良いです。ただ、何度も使えるものではないと思われ、映像の品質も考えると、数回使い切り、くらいで考えておいたほうがいいかもしれません。それゆえ、上記方法で、複数量産しておくのがいいと思います。


  今回は、かなりニッチな記事になったと思います。どれだけの方が参考になるかわかりませんが、MFTでレンズ前面NDに悩んでいた方なら共感してくれるのではないかと記事にしてみました。もちろん、LUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0に限らず、同じ手法でマグネットリアNDが作れる可能性もあります。(条件はスチールシートが貼れるスペースが有る事と、マグネットの厚みが入れるスキがある事)かりにもLUMIX G VARIO 7-14mm/F4.0を持っていらっしゃる方が入れば、よかったら試してみてください。こういった既存製品を望むより、自分で作るほうが早い、という結論になるかもしれません。


関連記事/関連リンク

【GAI News.140428】GH4Kという名のリトルモンスター 前編
【GAI News.140428】GH4Kという名のリトルモンスター 後編

milk_btn_prev.png

milk_btn_next.png

お問い合わせ

LinkIconinfo@gaipromotion.co.jp

〒154-0004
東京都世田谷区太子堂
3-14-8
太子堂COMPLEX 2F
TEL/FAX 03.5787.6511