2015年7月17日 of GAIPRO.NEWS

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4K撮影が楽しい!GY-LS300の正体とは? 後編

2015.7.17

GY-LS300 前編からすっかり時間が空いてしまいましたが、引き続きGY-LS300の使用レポートをしたいと思います。思えば1年前の春のGWは滋賀湖北にGH4の4Kサンプルを撮りに行きましたが、今年5月のGWには奈良纒向(まきむく)に幻の邪馬台国に想いを馳せながらGY-LS300の4Kサンプルを撮りに行きました。実際にテーマを決めて撮影に向かったため、現場での実践的なカメラの使い勝手を検証する事ができました。いくつか課題も見受けられましたが、コンパクトなカメラ本体は弊社の撮影スタイルに概ねマッチし、良好なロケが敢行できました。今回の後編では、GWに撮影した奈良の撮影サンプルを中心に、実際の現場での使用感や画質面、具体的な検証を踏まえてレポートしてみたいと思います。まずはGY-LS300で撮影した作品「箸墓」をご覧ください。全編4Kでの編集です。



環境が許す限り4Kでご覧ください。

レンズバッファに価値を見出すVSM

NOKTONNOKTON17.5mmのVSM90%時の画角 GY-LS300の最大のウリであるバリアブルスキャンマッピング(以下VSM)、現場では最大限利用しました。今回のロケでは、卑弥呼の墓と呼ばれ邪馬台国を語る上でシンボル的存在である、奈良県桜井市の「箸墓」を撮影しました。全長278メートルにも及ぶ巨大な墳丘墓は国内屈指の巨大前方後円墳で、全国11位の大きさです。(ちなみに1位はみなさんご存知の仁徳天皇陵(大仙古墳)で486m)これほどの巨大造築物を地上から撮影するためには、どこか遠くから撮影するか、広角レンズを使うかの2択になります。考古学ファンなら周知ですが、箸墓古墳の撮影スポットは割と限られていて、結局は堀側(沼地側)手前から、そこそこ広角のレンズで狙うのが定石です。そこで、全長をカメラに収めるために今回は主にLumix7-14mm/f4と12-35mm/f2.8を使いました。残念な事にPanasonic Lumixレンズのほとんどは最広角や最望遠でVSMの設定を86%以下の80%(MFT)に設定しないとケラれてしまいます。ただしLumix7-14mm/f4に関しては8mmまで持っていくとVSM86%(4Kドットバイドット)に設定しても多少の周辺減光は感じられるもののケラれなかったので、主にこの設定で全景を撮影しました。夜になり月明かりに照らされた箸墓を撮影したいと思い、撮影スポットでも最大限引ける場所に移動し、夜景に威力を発揮するNOKTON17.5mm/f0.95を装着したところ、MFTネイティブの80%だと残念ながら古墳の端が若干入らない結果になりました。そこで活躍したのがVSMです。NOKTONであれば多少イメージサークルに余裕があり、VSMを利用すれば通常は入らない範囲が収まってきます。結果的に90%までOKで墳丘は完全に画角に収まりました。VSMがある=レンズによっては画角にバッファが与えられる、という事です。(ただし、NOKTONの場合、絞り開放付近は無理にイメージサークルを広げると、ケラレないものの周辺の映像の品質は結構落ちる。「箸墓」のナイトシーンを参考)
 予想外の失敗もありました。そのままの設定でうっかりLumixレンズに付け替えて撮影してしまったため、四隅がケラれた状態で録画されていた事です。途中で気付いてVSMの設定を変更しましたが、ろくにモニタリングもできないようなワンマンのバタついた現場では微妙なケラれを見逃してしまう事が結構あります。カメラ自体にレンズのケラレや周辺減光に対しての警告表示があれば助かるなと感じました。いずれにせよMFTレンズ装着時のVSM利用はケラれに注意する必要があります。もっともマウントアダプターを介して、EFレンズ等APS-C以上の対応レンズの場合は心配する必要も無くなります。


GH4の4K収録よりクロップファクターは少ない

 そもそもGY-LS300は、4K収録時に関して言えばマイクロフォーサーズレンズ(以下MFTレンズ)で収録してもクロップファクターは抑えられています。VSMを最低限の80%(MFT)にすると、4K収録時のクロップファクターは最大値となりますが、それでもGH4の4K収録時にくらべ画角は広いです。さらにGY-LS300はレンズによってVSMを可変する事でギリギリまで画角を広げられ、結果としてクロップファクターを少なくする事ができます。通常のMFTセンサーカメラはクロップファクターは約2倍です。(50mmだったら35mm換算で100mmになる)GH4に関して言えば4Kにすると、ドットバイドットのセンサー読み出しと引き換えにクロップファクターは約2.5倍になります。(画角が一段狭くなる)GY-LS300はスーパー35mmセンサーですので、VSM100%に設定した場合はクロップファクターは約1.5倍程度と推測されます。あくまで感覚的ですが、おそらくGY-LS300の4K収録時、VSMを86%(4Kドットバイドット)で、通常のMFTレンズを使った場合、クロップファクターは1.7倍前後です。GH4が2.5倍という事を考えるとこれはかなりアドバンテージだと思います。特に単焦点レンズや広角系レンズには威力を発揮するでしょう。これは別の機会にレポートしますが、KOWAやオリンパス製のMFTレンズであれば、VSMをスーパー35センサーフル(100%)にしてもケラれなかったりしますので、特に4K収録時は重宝するでしょう。
クロップファクター下記にGH4との比較映像を掲載しています。

FHD収録時のVSMの大きな可能性

 今回の4K撮影の話題から少し外れますが、4K対応のGY-LS300は、実はフルHD収録時こそ、その潜在能力の高さに圧倒されます。各種マウントアダプターを介せば、フルサイズ対応レンズから、MFT、Cマウントレンズ、B4マウントの2/3のHD対応ENGレンズに至るまで、ありとあらゆるレンズで収録できてしまう唯一無二のカメラに変貌します。(オールドレンズ好きにはたまらないカメラ?)こちらに関してはmukカメラサービス様のブログに大変興味深い記事がありました。

GY-LS300VSM100%(S-35)GY-LS300VSM54%(S-16)、オールドレンズファンの心も踊りますGY-LS300VSM43%(HDドットバイドット)では2/3ENGカメラのHDレンズもカバー?



 また弊社が注目したのは、1本の単焦点、もしくはズームレンズでも、VSMによるセンサー読み出し範囲を変えることで、そのレンズ自体の持つ画角の幅を大きくシフトできてしまう、という部分です。PanasonicのGHシリーズを使っている方ならお馴染みのEXテレコン機能と基本的には同じ考えですが、GY-LS300は、センサー読み出し範囲がバリアブルで変更できるので、段階的に画角のシフトが行えます。また、これはあくまで弊社の印象ですが、GH4のEXテレコンは、画質が若干落ちる印象がありましたが、GY-LS300は、センサースキャンエリア毎に画質が最適化されているせいか、そこまで画質が落ちた印象がありませんでした。例えば弊社でもっとも使うPanasonicの12-35mm/F2.8ですが、VSMによるクロップファクターを最大限利用する事で、このレンズ1本で全ての現場を立ち回れてしまうかもしれません。現場で交換レンズを変更している時間がない時、もしくは交換できる状況じゃない時、指先で任意の画角に瞬時に変更できるのは大きなアドバンテージです。さらに単焦点レンズを使っていて三脚固定で場所を移動したくない時に、今一歩画角を広げたい、もしくは狭めたい場面でもVSMが助けてくれます。もちろん最初から4Kで広めに撮影しておいて、編集時にFHDのシーケンスで任意のサイズにクロップすれば?、という意見もあるかと思いますが、収録時にその作業を完結してしまう事は、編集時のワークを軽くするとともに、場面によっては記録済みの圧縮された映像からのクロップによる画質劣化も避けられると思います。最終系がフルHD作品の場合は、4Kで撮影しておくか、あからじめVSMを使い決めた画角でFHDで撮っておくか現場判断しても良いと思います。

SAMURAI BLADEで簡易VE作業

SAMURAI BLADESAMURAI BLADEとの併用で波形を見ながら撮影を進めた さて、再び「箸墓」の4K撮影の話題に戻ります。筆者はEVFより液晶を使う事がほとんどですが、カメラの液晶では色や適正露出はなかなか判断できず、画角確認とフォーカシング用途と思っています。GY-LS300に関して言えば、現状では波形やヒストグラムが搭載されていないため、現場でのシビアな色や露出の判断には若干苦しみます。弊社にあるATOMOS SAMURAI BLADEは同メーカーのSpyder for ATOMOSにてRec.709にキャリブレーションされています。そして輝度波形、RGBパレード、ベクトルスコープ等、ひととおり備わっているので今回はGY-LS300のお供に連れて行きました

 現場では主にRGBパレードの波形を出しながら露出を決めて行きました。しかし途中バタついてGY-LS300単体で撮影する場面もありゼブラだけでの露出決めはちょっとだけ難儀でした。これは”慣れ”かもしれないですが、弊社のフローとしてはゼブラはハイライトを見る指標にして、全体の露出は波形もしくはヒストグラムで見たい、というのがあります。カメラ単体で露出へのアシストができるような機能がもう少し欲しいところです。またセブラに関してもAF105やGH4と同じようにゼブラボタンを押した回数で範囲が数段階変わるような機構があると良いと思いました。SAMURAI BLADERGBパレードが表示できるATOMOSの外部レコーダー

 ところでGY-LS300は、4K30p撮影時、SDI及びHDMIの出力設定を「1080p」に設定した場合は、出る信号は59.94p出力になるようです。これは初期のGH4と同じ仕様で、SAMURAI BLADE等60p受けできないレコーダーでは信号を受けられません。そこで、GY-LS300側の設定を「1080i」にしてみると、無事59.94iの信号になりSAMURAI BLADE側に映像が映りましたが、映像はインターレースになっていました。つまり現状では、GY-LS300側で4K30pを収録し、外部でFHDの30pを同時収録する事(4K+FHD 30p収録)は出来ないようです。今後のファームウェアアップデートでダウンコン時に1080 30p出力が可能になる、もしくは収録自体が30pの場合は30pのままプルダウンで60i出力するように仕様変更されれば使い方も広がるかもしれません。GH4では後日ファームウェアにて30p出力に対応した経緯がありましたが、4Kからダウンコンされる1080pを60p出力でなく30pにするには技術的に何か 一つ壁があるのでしょか?もっとも弊社のロケではSAMURAI BLADEはあくまでモニタリング用途だったので今回は特に問題ありませんでした。


現場で使えたフォーカスアシスト

 GY-LS300のフォーカスアシスト系は必要十分と感じます。特にAF105では気に入っていた「フォーカスインレッド」、同じフィーリングをGY-LS300の「フォーカスアシスト」にも期待していました。
GY-LS300遠隔でのモニタリングでEXPANDフォーカスが見れると良いのだが‥ファーストインプレッションでは、あまり役に立たないかな?と思いきや、深度が浅い場面では、かなりピンの山が掴みやすいというのを実感しました。奥から手前へ、手前から奥へ、モノクロ画面の中で繊細な赤のラインが移動するのがわかります。(色は赤の他にも選べます)あぁ、これだけでもこのカメラを使う価値がある、と思いました。さらに現場ではEXPANDフォーカスを併用し、液晶脇のスティックで拡大位置を移動して常にフォーカスを確認。AF対応レンズではバタつく場面でPush AFも利用でき便利でした。

 一方でいくつか気になる部分もありました。まず前編で軽く触れていたEXPANDフォーカスとPush AFとの併用ですが、EXPANDした状態だとフォーカスが合わない場面が数回ありました。AFの計測ポイントが目的とずれてしまうのかもしれません。ですので、Push AF→余裕あればEXPANDして確認、という順番が良いようです。

 クレーンショット等のカメラ位置が高い場面ではカメラ本体の液晶を見る事が困難だったのでSAMURAI BLADEの画面でフォーカスを確認しましたが、残念な事にGY-LS300のEXPANDフォーカスは外部出力には反映されないようです。GH4等では拡大フォーカスがそのまま外部モニターにも反映され便利でしたので、ここは設定項目が設けられると良いなと感じました。(EXPANDフォーカスの外部出力ON、欲をいえばフォーカスアシストの画面も外部出力に対応できたら便利)現状では、カメラ本体の液晶が見にくい場面はATOMOS SHOGUNのようにモニター自体に拡大機能が付いているものを使うのが良いでしょう。


AFの精度はレンズ次第?

 これもファーストインプレッションではあまり期待しなかった部分でしたが、積極的にAFを使ってみた中で、Lumix12-35mm/f2.8や35-100mm/f2.8のレンズに関しては場面にもよりますが概ね良好でした。AF105の時はピクワブしてしまうAFには苦労していたので、この結果はとても嬉しいです。手持ちでドキュメンタリー的に対象物を追いかけていく際はそこそこ使えると思います。逆光でフォーカスが外れやすい部分や、対象物が中央にない場合でもピントを合わせ続けてくれたのが意外でした。あくまで弊社の印象ですが、GH4の4K収録時と比べるとGY-LS300のほうが使い物になる感じです。(ただし暗い場面では、特に逆光等はやはり厳しいようです。)とりあえず4Kで取材、AFメインで、という場面ではLumix12-35mm/f2.8は鉄板になりそうです。以下、AFテスト時の映像です。


環境が許す限り4Kでご覧ください。

 一方でLumix14-140mm/f4-5.8で望遠側で対象物を狙った際はAFはそれなり、でした。特に細かい模様や描写の場面は泳ぐ事が多いようです。状況やレンズによりAFが使えるかどうかの明暗が分かれそうです。(尚、フルタイムAF時にフォーカスが泳ぐような場面では、GY-LS300のAFロックがとても役に立つ)
ところで、Lumix製の電子接点付きMFT、AFレンズでもっとも悩ましいのが、フォーカスリングの絶対位置が設定できない、という部分です。(オリンパスではリングを前後させる事で可能ですが、逆にレンズ内手ぶれ補正が無いのが悩ましい。)
例えば、AからBへのフォーカス位置をプリセットして送りの秒数を決めてフォーカスを送る機能、つまりフォーカストランジションのような機能を実装できないものかと夢想してしまいます。その際、動き始めと終わりはイーズの設定が必須です。(確か近い機能はSONYのZ5Jにあった気がします)そんな機能が今後ファームで実現できればFMTのレンズ資産はより活かせるものになると感じました。


4K収録時のローリングシャッター&モアレ

 このクラスの大判カメラでは避けられないのがローリングシャッターによる画像の歪み現象とモアレです。まずローリングシャッターですが、GH4との比較ではGY-LS300のほうが動体時の歪みが少なく、4K収録にしては結構抑えられている印象です。おおよそAF105やGH4のFHD収録程度のものだと思います。

ローリングシャッターLS300は歪みが抑えられている印象

 次にモアレですが、GH4と比べて解像感は若干劣るものの、GY-LS300はモアレがだいぶ抑えられている印象です。
モアレビルに発生した偽色とモアレ、GY-LS300はかなり抑えられている(実際の4K映像を下記よりご覧ください)

さすがは動画専用機で、DSLR等にくらべると安心して撮影ができそうです。下記にGH4との比較映像もアップしておきます。


環境が許す限り4Kでご覧ください。

シネマよりかはビデオライクな発色?

 弊社がAF105やGH4を多用する理由の一つにCINE LIKE Dガンマの存在がありました。特に晴天時の空抜けの屋外撮影のしっとりとした色味は好きです。GH4のCINE LIKE Dに関してはよりDRが広く感じられます。一方でGY-LS300のデフォルトのLOOKですが、GY-HM650に近い、どちらかというとビデオライクな元気な発色の印象を受けました。屋外のよく晴れた場面での発色はふんわりしていて好きです。DR(ダイナミックレンジ)という見方では、高輝度側の印象はGH4のCINE LIKE Dには一歩及ばず、といった印象でしたが、企業VPや商品プロモーション等、業務の現場をターゲットとしてみた場合は、しっかりしたコントラストと描写で印象は悪くありません。このあたりは好みも分かれるところだとは思います。上記のAFテスト映像を見ていただいても、その発色の良さは確認できると思います。欲を言えばCINEMA EOSのWIDE DRやGH4のCINE LIKE DのようなDR重視のピクチャープリセットが1つ搭載されていると弊社としては嬉しかったかもしれません。

MFTカメラそのカメラにしか出せない色があるのも事実。使い分けるのが吉 もっともGY-LS300には詳細なピクチャースタイル項目が設けられています。ガンマ、カラーマトリクス、暗部操作、いろいろ変更できますので、一度追い込んで自分好みの画調を作ってみるのが良いでしょう。GY-LS300はシネマガンマを搭載しています。このガンマはHM600/650から搭載されていましたが、DR優先というよりかは、GH4のCINE LIKE Vのようなコントラスト重視のガンマのようです。色味に関しても「シネマ、鮮やか」と「シネマ、和やか」があり、場面により使い分けができそうです。「シネマ、鮮やか」は特に暖色系がビビットになる印象で、「シネマ和やか」は銀残しっぽい雰囲気の淡い色の感じになります。「シネマ和やか」は多少デフォルメされた色付けになるので、イメージビデオ等には良いでしょう。

 GH4で搭載されているハイライト/シャドウですが、LS300ではニー設定と暗部設定で同様の操作を行なえます。またそれらをざっくり行うWDR機能もあります(AF105のDRSと同等の機能)今回も場面により設定を探ってみました。まず暗部を持ち上げる「暗部/ストレッチ」ですが、設定は慎重に選んだほうが良いでしょう。特に今回のような緑が多い場面だと黒が浮いてきて若干気持ち悪い色になる場面もありました。ニーに関しては、マニュアルで100%から80%までニーポイントを可変できますが(数字が小さいほうがよりハイライトが寝てくる)、実は「オート」に設定したほうが高輝度を含む場面でハイライトが抑えられる印象がありました。これらの設定を行う際は、ハイライトの色の転び方と暗部のノイズは常に監視しておいたほうが良いです。もし外部モニターでしっかり確認できない場合、ニーはオートで、暗部設定はストレッチにする場合はデフォルトの3までにとどめ、WDR機能は「ナチュラル」にとどめておくのが良い気がします。いずれにせよ高コントラストな場面以外は使用を控えたほうが良いでしょう。グレーディング前提でできる限りDRを収めて撮影したい、という用途もあるかもしれません。GH4ユーザーにも時々見かけますが、8bitですしLog(対数)記録でも無い限り後処理での破綻(階調飛び)は避けられないと思います。(筆者はテクニカラーCINESTYLEで痛い目に合っている)尚、前編でも記しましたが、これらを頻繁に操作するユーザーは、あらかじめ「お気に入り」に項目を入れておけば、ボタン一つでアクセスできるようになるので便利です。

その他、現場での印象まとめ

GY-LS300奈良纒向遺跡 箸墓古墳にて 最後に、今回ロケを敢行してみて、現場で感じた事や今後の展望、希望を記してこのレポートをしめくくりたいと思います。
まず、GY-HM600/650ユーザーには気になっていたバッテリーの持ちですが、GY-LS300に関しては悪くありません。GY-HM650の時は1日に4本使う計算でしたが、GY-LS300はそれと比べると1.5~2倍程度の省電力になっている印象です。今回のロケでも使ったバッテリーは結果2個でした。ところでHMシリーズにも言える事ですが、なるべく消費電力を少なくするためには、まず映像出力をHDMIもしくはSDIの一方だけか、「無し」に設定します。EVFと液晶は両方ではなくいずれかに制限します。Wi-Fiは切りに。このあたりの設定を全部ONにしておくと、かなり電気食いのカメラに化けてしまうので、設定は都度確認するのが良いでしょう。

 ちょっとだけ気になったのは、電源の立ち上がりの遅さです。GH4やAF105ユーザーは特に感じる部分です。急ぎのレンズ交換時またはバッテリー交換時には注意が必要です。電源の立ち上がりはカメラの仕様だと思うので、今後スリープモードやスタンバイモード等が欲しいところです。

 ロータリーNDフィルターの便利さは現場で痛感しますが、NDのツマミとアイリス操作のツマミが同じ位置に前後で並列しているため間違ってアイリスを動かしてしまう事がしばしばありました。またアイリスのツマミはWBのボタンが付いてますので、手探りで操作した際、うっかりWBを狂わせてしまう危険もあります。NDを変更する時は必ず目視して操作するようにクセをつけた方が良いと思います。

 すべてが電子接点でのやりとりになっているLumix製レンズに限っての事ですが、現場ではアイリスダイヤルの反応の遅さは気になりました。(AF105でも同様の事が言えた)GH4であれば、ダイヤルで意図したF値に瞬時に持っていけるものの、GY-LS300の場合はダイヤルを行ったり来たり。一発でピタっと意図したF値に持っていくのは困難です。対処としては、一旦アイリスオートにして一度カメラ側に測光してもらい、動作が落ち着いたところでマニュアルに戻し意図したアイリスにするのが良いようです。その最、前編でも書きましたが、できればカメラ側測光の適正に対して + - が分かる表示が出てくれると現場で目安になるのでとても便利なのですが‥今後の搭載に期待したいです。(AEシフト時はもちろん出るが露出オートの時に限る)

 今回、現場で実際に使ってみて、不満点も見えてしまったものの、やはりDSLRに比べオールインワンのカメラは使いやすさを痛感します。特にAF105の熱狂的なユーザーだった弊社にとって、メーカーは違えどGY-LS300はまさにその後継の4Kカメラという位置付けになりそうです。また4K収録で汎用のSDカードでデュアルRECできてしまう安心感、現場でカメラ単体で確実に収録できる4Kカメラだと思います。さらに何と言ってもVSM機能による現場での柔軟なワークフロー、レンズや画角に合わせて自由にセンサーサイズを変更できる唯一無二の4Kカメラだという事です。
そしてJVCケンウッドに期待したいのは、GY-HM600/650がそうであったように、買って終わりではなくGY-LS300も「進化していくカメラ」になる、という事です。発売当初に出たいくつかの不満点は今後のファームウェアアップデートで次第に解消されていく、という期待があります。今回は前編、後編と駆け足でレポートしてきましたが、今後も弊社がGY-LS300を使っていく上で、FacebookやNews等でレポートをしていきたいと思います。


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【GAI News.130305】Z5Jユーザーから見たGY-HM600/650 -後編-
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