2015年12月4日 of GAIPRO.NEWS

1303H

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1台何役?コスパ最高の軽量セカンドディスプレイ

2015.12.4

1303H一般的な5〜7インチとくらべてかなり大きいが薄く軽量でコンパクトな1303H OnLapという名前はモノ好きなら一度は目にした事があると思います。コンパクトで軽量なPCセカンドディスプレイのラインナップを次々と投入し、Amazonを中心に一部のマニアでは話題のブランドです。このアキバ系なディスプレイ、ふと最近のモデルに目を落としてみると、フルHDのIPSパネルで視野角178°の文字。弊社が最初に注目したのが1303Hという13インチ型のディスプレイでした。こと売れ筋のPCのセカンドディスプレイは、USB1本で済ませるタイプと、USB電源とは別にHDMI等ディスプレイケーブルは別途必要なタイプと二分されますが、OnLapで多いのは後者のタイプ。特に最近のモデルはMicroHDMIが付いおり、5V2Aなのでモバイルバッテリーでの運用も可。これはひょっとしたらロケモニターによいのではないか?という思惑が生まれるのも必然でした。3万程度でフルHDのIPSパネルのモニターが手に入るとなれば、かなりコスパは良いはず。そして後記しますが、弊社としては、13インチという大きさも重要でした。そこでさっそく1303Hを導入、実際のロケで数回運用してみた結果、これがそこそこ素晴らしかった訳です。今回はまたもや弊社目線で OnLap 1303Hの多彩な使い道をレポートしてみたいと思います。


ロケモニターとしてどうか?

1303H1303H色域はsRGBをほぼカバーしている。対してMBAの液晶の残念さが目立つ。 弊社は映像制作会社なので、そもそも撮影機材としてどうなのか?という部分をまず書きたいと思います。結果として「アリ」です。FaceBookでも掲載しておりましたが、簡単なキャリブレーションをしてみたところ、色域はsRGBをほぼカバーしており、発色はそこそこ良い印象。セカンドディスプレイ元のMacBookAirの液晶とくらべてもがなり良いです。(sRGBとRec709の色域はほぼ同じ)IPSパネルの13インチフルHDなので、7インチモニターとくらべても視認性は格段にアップ。そもそも、なぜこの13インチのパネルを撮影用モニターに起用したかというと、企業VPを中心に制作を担っている弊社ならではの悩みに起因します。

1303H13インチは視認性がハンパない。軽いので手持ちも難なく。 すべての現場がそうではありませんが、企業系の撮影は1日に数十カットを撮る案件が多く、かなりタイトなスケジュールで進行していく事が多いのです。しかしながら撮影場所の状態、商品の状態、映り込み、見切れ等、撮影素材に間違いがあってはならず、できる限り外部モニタリングをしながら撮影を進めていきます。ここで、ディレクター、プロデューサー、クライアント、いろんな方がチェックをしてくださるのですが、7インチ程度の視認性だと、正直細かい部分は見逃してしまっている事が多く、撮影後、素材を大きなPC画面であらためてチェックするとNGショットがちらほら、なんて事も出てきます。最近は4K撮影が増えたのでリスクはさらに高まっています。かといって、通常の10インチ以上の業務用モニターは運搬にかさばりますし電源問題も出てきます。ワンマンもしくは2マンで立ち回る事が多い弊社にとって、できるだけコンパクトに気軽に動きたい、というのがありました。
1303H液晶保護カバーがそのままモニタースタンドになる。スタンドはマグネット式3段階 1303Hは13インチでありながらかなり軽量で、ディレクターがA4の台本と一緒に脇ににかかえて快適に立ち回る事ができました。軽いので手持ちで見る事も難なく、さらにディスプレイカバーがそのままスタンドになるので、どこかにモニターを立てる事も簡単でした。そしてやはり13インチですとかなり細かい部分まで目が届きます。電源はあらためて書きますが市販のUSBモバイルバッテリーを使いました。
 スピーカーも付いているので、たとえばインタビュー素材などをその場でカメラからプレイバックする際も便利です。音質はそれなりですが、確認用には十分な音量に感じました。万が一音量に不満があれば音声出力用のミニジャックもついているので汎用のモバイルスピーカーもつなぐことが出来ます。
 最後に若干残念なのが、30p受けができない事と(後述します)、パネルの明るさです。300cdは室内撮影はなんの問題もなく、むしろ明るめですが、晴天時の屋外撮影はやはり厳しいです。この大きさですとフードつけるのも大変なので、場面により小型の明るめのモニターを選択するのがベターだと感じました。


モバイルバッテリー運用でほぼ1日使える

 1303HはUSB電源仕様なので、通常のモバイルバッテリーが使えます。今回はcheero Power Plus 3 13400mAh を電源とし運用してみましたが、ほぼ1日のロケをまかなう事ができました。(5V2AのUSBに接続)cheero Power Plus 3は従来タイプより容量がアップしコンパクトになったので、1303Hの裏側に付けてもそれほどかさばる印象はありません。(この感覚は人それぞれかもしれませんが)1303Hへはマジックテープで接着する事でバッテリー交換時もスムーズでした。1個3000円そこそこなので数個揃えておくとかなり幸せです。注意しなければならないのが各ポートへ接続したケーブル。通常のケーブルだとただでさえ細い端子部がポートから飛び出るので圧がかかった際にポキっと逝ってしまうかもしれません。弊社の場合、MicroUSBケーブルは片方がL型になったものを使用、同じくMicroHDMIはL型のMicroHDMI-HDMI変換ケーブルを付けて運用しました。(右向きと左向きがあるので、向きに注意、弊社が使ったケーブルは左のAmazon広告に入れておきました。)さらにポート部分はパーマセルや養生テープでしっかりガードしておくと良いでしょう。このあたりは撮影専用のモニターでないため、工夫が必要なところです。
1303HポートはHDMIの他、DP、VGA、USBと豊富cheero Power Plus 3 モバイルバッテリーはモニターケース兼スタンドにマジックテープを貼り付け着脱式に1303HL型ケーブルを使い運用の際はテープでガードするのが良い


1303Hは30pネイティブは受けられず


1303Hインターレースの場合、一方のフィールドしか表示されないため若干輪郭がジャギる場面がある 残念な事に1303Hでは1080 30p(29.97p)ネイティブだと「アウトオブレンジ」と表示されブラックアウトしてしまうため、カメラ側からのHDMI出力は1080 60iか60pにしてあげないといけません。多くのカメラはHDMIが60iになりますので、それほどトラブルはないと思われますが、60i受けの場合、プログレッシブ表示が基本である1303Hでは一方のフィールドが表示されず、液晶を目を皿のようにして見た場合、輪郭のジャギを若干感じます。(つまり水平解像度は実質、1080から半分の540になっている)下記は弊社が持っているカメラで検証した結果です。)

DMC-GH4:HDMI出力設定を、ダウンコンバートをAUTOもしくは1080pにした状態で、1080/30設定を60pにすると表示される(30pは表示されず)60pなので、ジャギもなくスッキリな映り。AVCHD 60iの場合は若干ジャギを感じる。

GY-HM650:設定に関係なく問題なく表示される。60iなので、若干ジャギを感じる。

GY-LS300:30pもしくは60i収録時はHDMI出力を1080iに設定すると表示されるが1080pは表示されず。60i出力の場合、若干ジャギを感じる。4K収録ではなく、1080 60p収録の場合は、1080i/1080pともに表示され、1080pはジャギを感じず綺麗。

EOS 70D:撮影解像度に関係なく問題なく表示されるが、全画面にならず60iとあいまって、かなりジャギる。

DMC-GH2:撮影解像度、設定に関係なく問題なく表示される。60iなので、若干ジャギを感じる。

BMPCC:どのフレームレートでも表示されず。(おそらくHDMIはfpsネイティブ出力)

 という事で、表示に関してはほとんどのケースでは60i出力なので問題なく感じますが、1303Hの場合、60p出力時がフルHDパネルの高精細さを100%活かせる印象でした。一方で最近のカメラではBMPCCのようにHDMIが24pや29.97pネイティブであったり、外部レコーダーを途中で経由させるために30p出力するような場面では信号を受けられないので注意が必要です。尚、最近発売された新機種1101Pは30pに対応しているようです。しかも商品紹介のトップページは完全に「ロケモニターとして使ってください」になっています。11インチというサイズはもしかしたら悪くないかもしれません。13インチだと、たしかに視認性が上がり非常に見やすいのですが、もう気持ち小さければバッグに入るのに、という場面もありました。またこのサイズでFHDパネルですと、ディレクターやクライアントプレビュー用のモニター用途以外に、フォーカス確認用のカメラマンモニターにも良いかもしれません。30p対応なので、30p出力すれば水平解像度は100%保たれます。ちょっと心が動いています。


編集時プレビュー用セカンドモニターでの運用

1303HMacBookAir13インチとほぼ同じ大きさ、2枚重ねて気軽に持ち運べる。 弊社の場合、ロケ先や出張先でMacBookAir13inchでオフライン編集や、簡単なものであれば通常編集までノマド作業する事が多いのですが、その際にも1303Hが役立ちます。サイズも厚さもほぼMBA13inchと同じなので、2枚重ねで脇にかかえて持って行き、テーブルでサっと展開する感じはとても気軽です。1303Hの液晶保護カバーは、裏につけるとそのままスタンドになるので余分なパーツも要りません。(ただし耐久性は若干懐疑的)
 まず弊社のメインストリームであるAdobePremiereProCCでは、環境設定の「再生」項目で「Mercury Transmitを有効にする」にチェックを入れればタイムラインの映像が1303Hに難なくフル画面で出力されます。元素材が30pや60p等のプログレッシブ素材であれば輪郭が若干ジャギる事も無くFHDパネルが活かされたスッキリ高精細。60iの素材を編集に使う事が多い人は一方のフィールドのみの表示になるので、輪郭は若干ジャギってきますが、よっぽど気になる方は例えばPr等でビューアーの設定を”フィールド両方表示”にするのも良いでしょう。色もMBAの液晶に比べれば格段に良いため、簡単な色補正も安心して出来ます。より精度を高めるならば、一度市販のキャリブレーションツールで補正しておくと良いでしょう。弊社はDetacolor社のSpyderProでsRGBをターゲットにキャリブレーションをしてみました。
1303HFCP Xのセカンドモニターにもベスト。波形を出すとプレビューが若干狭くなる。 FCPXの場合は「ウインドウ/セカンドディスプレイにビューアを表示」で、タイムラインの映像が1303Hにフル画面出力されます。色補正時に波形を表示させたい時も波形はセカンドビューアに表示されますが、弊社としては、その分ビューアが狭くなってしまうので、できれば波形は別ウインドウで分けたいところです。
 クライアント先での映像試写の際も有効です。PrやFCPXで直接タイムラインから1303Hに出力したものを見ていただくのも良いですし、手元のパソコンと1303Hをミラーリング設定して、2方向から試写する、なんて事も手軽に出来ます。これまで視聴環境の無い会議室等ではパソコン再生してお客様に見ていただいていた、という状況であれば、1303Hを1個バッグにスっと忍ばせていくだけでもかなり違います。気合い入れてテレビモニターを先方の会議室に持ち込む事からもサヨナラです。


縦型写真の現像等にも便利

1303HLightroomの縦写真の現像にはすごく便利! スチールでのスナップ撮影は、弊社の場合、特段の理由がない限りJPEGで済ませていましたが、最近はRAWで撮影する事も増えました。しかし現像する際はできるだけ高画質で確認したいものです。会社の大きなパソコンモニターでちゃんと現像処理すればいいのですが、自宅や外の施設で現像作業をする事もしばしば。1303Hは13インチでFHDという高精細なパネルなので、たとえばAdobe Lightroomでは、そこそこ快適に現像処理ができました。便利だったのは縦写真の現像時。パネルが薄いので気軽に縦掛にできます。モニターを縦にする際は付属のスタンドが使えませんが、ブックスタンド等で支えれば良いと思います。(薄く軽いので、100均等で売ってる大き目のイーゼルでもいいかも)



 USBモニターから派生した薄型のセカンドモニターはここ数年で一気にラインナップが増えました。その中でも電源を気にせずUSBケーブル1本でつながるセカンドモニターはPC作業領域を気軽に快適に広げてくれるという意味では良いと思います。
1030HATEM TelevisionStuioのメインモニターにも良い。 しかし弊社のように撮影用モニターを始め、いろんな用途で多彩に使いたいという場合であれば、HDMIやDisplayPortが用意されているモニターが大きなアドバンテージを感じます。

 1303Hは13インチという大きさながら、かなり薄くコンパクトで利用価値が高い製品と感じました。もちろん映像制作の用途をターゲットにした商品ではないので、インターレース表示や30p入力に対応しない等の細かい不満は出て来ます。しかし普段はPCのセカンドモニターという位置付けで、時には編集作業用のプレビューモニターやロケ用モニターにも気軽に使える、という視点では、かなりコストパフォーマンス高いモニターだと感じました。その後新発売された11インチの1101Pがより映像制作の現場を見据えた製品になってきた事を考えると、今後のOnLapの薄型パネルラインナップは、我々の業界でも目が離せ無くなりそうです。


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